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カップラーメン(その2) [在外研究(暮らし)]

 EDOラーメンも,具が入ってないのはさびしいですけど結構おいしくいただきました。日本メーカーのものはないのか?
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 大学近くのコンビニには,見慣れぬ日清カップヌードル「台味道」や,出前一丁が置いてあります。一個1ポンド弱なので,日本よりはややお安い。中国法人やヨーロッパ法人が現地で生産したものを,イギリスに持ってきているようですね。韓国や中国のメーカーは自国で生産したものを輸出できることを考えると,為替,人件費と日本がいかに製造業にとって厳しい条件になっていることを実感させられます。

 また,過剰品質も高コストにつながっていることは,間違いなさそうです。「台味道」の容器は紙でできていて手で持つとちょっと熱い。「出前一丁」はプラスチックでできていて,汁をすすると,カップが口の端に当たって痛い。日本の発泡スチロールのカップはなんて良くできているのだろう,と思わずにはいられないですね。
 
 よく聞く意見に,「「日本製品」に対する一定のブランドイメージはあるようなので,日本ブランドを全面に押し出すことが必要」というのがある。
 ところが,日清が日本企業で,EDOラーメンが中国企業だ,ということに気がつくひとはどれだけいるだろうか。中国企業が,日本風の名前を商標登録するのを訴訟等で止めさせていく,という動きがあることを知っているが,日本でも王朝キムチとか宮廷キムチという日本製のキムチがあるように,日本風の名前を使うことを完全に止めさせるのは,現実的ではない。もちろん,けしからん,というのは自由だが,けしからんというのは,生産的だとは思えない。そう思う人は,Yahoo!とかtwitterでけしからんと言っておればよろしい。
 
  また,NECや,Nikonは,ネックやナイコンであって,日本企業だということを知らない人も結構いる(日本への中東からの留学生談)。SONYが日本企業だと言うことを知らない人は実際にいた(3年前イギリスに引率した学生談)。「日本にはNINTENDOある?」って,聞かれた日本の女子高校生もいる(ただし,20年前)。 結局消費者の選択は,一義的にはどこの国の企業が作った,ということよりも,その製品がどうか,ということにかかっていると思う。Panasonicが,松下電器産業から名前を変えたように,既に企業の認識は変わっているのではないか。

 そんなわけで,官民挙げて,日本ブランドを売り込むことが,日本製造業の競争力を増す,というのは妄論じゃないかなあ,と思う。官民挙げて,ラベリングや認証機関を作って,売り込むという方法もないわけではないが,経済産業省関係の天下り先が増えるだけではないか。「紀州備長炭使用店」の焼き鳥ならうまい,と考える消費者はそんなに多くない。すべての店が本当に紀州で作られた備長炭を使っているかは疑わしい,という意見さえある(日野先生調べ。サンプル数1。)。
 結局,多国籍化して,生産を現地化して,経営を現地化して,価格と品質,サービスのとれた製品を売っていくのが,今後の日本企業の生き残る道ではないか。それは個々の組織と個人の努力にかかっていると思う。当地では,当地で作られたNISSANが,他のヨーロッパの車に混ざって,普通に走っている。5,500人の従業員がいるそうだが,日本人は20人ぐらいかな,とは,NISSANで働くイギリス人社員(たまたま電車の中で出会った)の弁。
 食品についても同じであろう。当地では,どこで作った分からないsatsuma(みかん。芋に非ず。)や,shimeji(きのこ)が普通に八百屋で売られている。そばに日本産が並べられて,「こっちの方が値段は高いけど,おいしいね。」ということになって,市場は開拓できるのではないか。もちろん,店によっては,日本産を偽って売る店が出てくるかもしれないが,それは最終的に,その国の市場のルールと慣行をふまえた小売店と消費者の信頼関係の問題ではないか。


 と,ごちゃごちゃ言っているうちに3分経ちましたね。それでは,ラーメンをいただくことにしましょう。おお,ちゃんと日本と同じように具が入っている。写真ほどには大きくないですねどね。まあ,これも現地化の一種ですかね。お味は,カップヌードルにそっくり。ズルズル。
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