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イギリスでの医療 [在外研究(暮らし)]

 いろんな事情を経て,もう一つだけ在外研究と暮らしについて書いてみようと思う。在外研究でイギリスに来る人のお役に立てば幸い。というわけでイギリスの医療編はじまりはじまり~。 

 ロンドンには日系の病院があって,日本人医師の診察すら受けられるらしい。ところが,ここにはもちろんそんなものはない。また,このようなプライベートと呼ばれる医療を利用するには,高額の医療費がかかるらしい。もっとも旅行傷害保険に入ればよい。ただし,調べてみると,一家で何十万円,という金額である。駐在のひとは,おそらく会社が払ってくれるのであろう。保険が全額払ってくれるとなると,被保険者は見境なく病院にかかるであろうし,旅行者本人の懐が痛むわけではないから,病院が請求する診察費もべらぼうに高くなるのであろう。さる病院のホームページには初診料135ポンドより,とある。保険会社も,採算がとれるまで保険料を上げればいいしね。

 ところがイギリスは国民皆保険の国である。もっといえば国民でなくても6ヶ月以上滞在するひとは,国民保険に加入することができる。しかも医療費は原則無料らしい。ただし,好きなときに好きな医者にかかれるわけではなく,かかりつけ医(GP:General Practitionar)に登録し,電話で診察の予約を取ったうえで診察を受け,症状によっては大病院を紹介されるらしい。タダにしておくと,かかり放題,請求し放題,という問題が起こってしまうはずだから,そのためには受診制限は必須である。

 さて,GP探しは面倒だろうなあ,と思っていたが,ビジネススクールの国際関係担当事務のワッツさんが,到着2日目にGP情報を含めいろいろ教えてくれた。よく考えれば,大学には大量に学生や教職員がいる。そういうアドバイスは慣れている風であった。
 そんなわけで電話で予約を取って,パスポートと住所を証明できるものとしてTenancy Agreement(住まいの契約書)を持って,GPへ赴く。

 イギリスは,ある面では日本以上の医療崩壊が起こっているという。NHS(National Healthcare System)の問題点は,いつも報じられている。そもそもGPの予約は取れず,診断がついても治療はずいぶん待たされるとか。待ちきれなくて死んじゃったとか。富裕層は自分で保険に入ってプライベートの医療を受けるとか。
 とはいえ,まがりなりにも外国人も含めて全員に無料の医療が保証されている,というのは優れている,ともいえる。アメリカでは,医療保険の保険料も診察料もべらぼうで,子どもが病気になったために,支払われる保険金の上限まで達してしまった,とある人が言っていた。それを聞いて「まあ,アメリカって格差社会なのね。」というひとが少なくないという東の方にあるある国では,国民皆保険を掲げつつも,その保険料が払えず,無保険になっている人も少なくないという。実際,大学院生時代,国保の加入者であったが,負担感は大きかった。

 そんなわけで描いていたGPのイメージは,薄汚れた診療所,つっけんどんな医者,アル中の患者が徘徊する待合室であった。ところが,実際に出かけてみると,意に反してこぎれいである。また来ている人も底辺層という感じは全くしない。この日は,家族分の健康状態調査票と,容器をもらって帰ってくる。「urine」。あまり聞かない単語なので一瞬わからなかった。違うものを入れていったらひんしゅくだろうなあ...。
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