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イギリスの保存鉄道 [イギリス(無用の用)]

 イギリスでは,1960年代に多くの鉄道が廃線となった。理由は経営の合理化である。俗にBeeching Axe(邦訳「ビーチングの斧」:この名前は,合理化を提言した報告書の著者,リチャード・ビーチングに由来する。)。Wikipediaによれば,4,000マイルが廃線になったという。
 
 保存鉄道の多くは,このとき地域で活躍した鉄道が廃線となることを惜しみ,わずかな線路を保存しよう,という地域の人々の動機で始まっている。presavation railwayとか,heritage railwayとか呼ばれている。

 多くがNPO,いくつかが株式会社とその運営形態はさまざまである。また,機関士,車掌に始まり、そこで働く人の大多数が,ボランティアであることは間違いないが,同時に少数ながら有給のスタッフも働いている。ボランティアだけで橋を作り直したり,蒸気機関車の運転を行うのは無理と言うものであろう。また,鉄道によっては観光資源としての役割も大きく,それなりに行政からの支援を受けていたりする。また,汽車から落ちたボランティアが亡くなったので,安全が確認されるまで運行を休止したとか言うニュースもSteam Railwayとかいう,これまたディープな雑誌で報じられてた(と思う)。ボイラや構造物,そのほかについては安全上の規制だって少なくないはずだ。

 そういうわけで,保存鉄道は「汽車好きが集まって話し合いで運営している酔狂な鉄道」と言う牧歌的なイメージだけでは語りきれない。そこにはマネジメントがあるはずである。たしか職能別組織(生産とか販売とか仕事の種類別に分かれている組織)の発祥は,アメリカの鉄道ではなかったか。

 以上のように、経営学者はつまらないことを言う。おそらく、日本でもっとも保存鉄道について詳しく,またその魅力について書いているのは秋山岳志氏であろう。氏のように楽しい話を書けるように頑張ってみようと思う(氏とはお会いしたことはないが,出身学部が同じらしい。商学部出身のトラベルライターって、珍しいのではないか。)。

 とぐだぐだ言うのはともかくとして,次回は、北部イングランドにあるタンフィールドレイルウェイを訪問します(「世界の車窓から」風に。)。




機関車トーマスと英国鉄道遺産 (集英社新書 538H)

機関車トーマスと英国鉄道遺産 (集英社新書 538H)

  • 作者: 秋山 岳志
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: 新書



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