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お金をどうするか [在外研究(暮らし)]

 今日大学で買った500mlのペットボトルが1ポンド20ペンス。街のコスタコーヒーで飲んだコーヒー(ラテアートつき)とちっこいチョコレートとクランベリーのケーキで4ポンド25ペンス。現在のところ1ポンド=125円ぐらいなので,まあ,日本の物価と同じぐらいの感覚ですな。パブのビールは1パイント約0.57リットルで4ポンド以下(銘柄にもよるがおおむね)。これは日本よりも安そう。

 ところで,3年前語学研修を引率してイギリスに来たときは,1ポンド200円を軽く超えてました...。あのときは,何を買っても高かったです。学生たちが寮生活をしていましたが,誰が誰のものを黙って食べたとか,一緒にゆでたパスタを誰が多く食ったとか,そんなけんかをする始末。
 「先生,一緒にご飯食べましょうよ。[黒ハート]」とか言われました。ここで何を期待されているのかが分からない人には教員稼業は無理ですね。みんなでビフテキを焼いて長粒米を炊いてワインを飲んだのを思い出します。
 「人望は金で買え。」や「けちは好かれない。」ということを学ぶのも大学生にとっては大事なことだと思う。私が仕事を始めるときに,「身銭を切って遊べ。」とアドバイスをしてくれた先生がいたが,これは真実だと思う。そもそも人格が立派で人望のある人はまた違うのかもしれないですけどね。

 さて,来年の4月から在外に行こうという人は,「あ~,いいな~。円高で。」と思っているはずです。現金やトラベラーズチェックをちょっとだけでも今のうちに両替しておこうかな~,とかいう先生もいらっしゃるはずです。日本国内でのポンドの現金はドルやユーロに比べて割高感があります。発行手数料こそかかるものの,レートはT/Cの方がよい。さて,T/Cにするか,現金にするか?どちらがお得か?

 「トラベラーズチェックは,イギリスでは無手数料で現金に換えてもらえるところはない。」とかいう情報がネットに書いてありますが,そんなことなかったです。

 私の経験からは,「アメリカン・エクスプレスのポンド建てT/Cは,手数料なしでLlyods銀行やBarclays銀行で換金できる。」 これが正しいです。あ,もっと正確に書き直します。「2011年現在,当地にあるLlyods銀行やBarclays銀行では,アメックスの200ポンドのT/Cは無手数料で換金できる。」です。ちなみにトーマスクックの両替所では2%の手数料が必要。

 僕の場合,今年(2011年)が,3年前みたいに超ポンド高になったらどうしよう,と思ったので,何十万円分かT/Cも持ってきました。東京では三井住友や東京三菱の外貨ショップで購入可能。ちなみに,今のところT/C購入時よりも10円ぐらい円高で推移...。日頃の行いが悪いので,欲を出すとろくなことになりません。

 ちなみに,その他の現金入手手段としてスルガ銀行のデビットカードを作ってみました。出発直前に海外利用手数料が3%に引き上げ。1回につき200円の利用手数料もかかる。田舎銀行を当てにした僕が馬鹿だったです。10万円手に入れるんだったら,私学共済JCBカードでキャッシングして,スカイプで返済額を確認して,インターネットバンキングで返済した方が安上がり。ただ,クレジットカード利用に手数料がかかるお店とかB&Bとか格安航空があるので,デビットカードは一枚あると便利だと思う。
 もっともこっちの銀行で口座を開けば,デビットカードはついてくるのかな?こちらの銀行で口座を開かなかったので,そこはよく分からないです。 

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インスペクション・カーに乗る(エンブシー・ボルトンアビーレイルウエイ) [イギリス(無用の用)]

 Inspection carと聞けば,誰もが,線路の検査をする車両ね,とか,ドクター・イエローみたいなやつね,とか思うに違いない。私も,それをインスペクション・カーと呼ぶとは知らなかった。エンブシー・ボルトンアビー鉄道のホームページにはもっとわかりやすい呼称「ダイレクター・サルーン」と記されている。要は,鉄道の上級の管理者や行政官が,巡回するときに使用した車両のことを意味している。真ん中に机を置けば,図書券を賭けての麻雀でもできそうな車両である。

 イギリスが階級社会の国だからなのか,それとも船乗り,軍隊,警察,鉄道と制服を着てする仕事は縦の関係をはっきりさせることが重要だからかわからないが,豪華な造りである。悪くないいすが置いてある。その時代の機関車は満足な屋根すらなかったことと比べると,同じ鉄道で使われる車両とは思えない。車内は,窓を背にソファーが並び,大きなガラスの窓を備えている。展望車のような車両といったら適切か。管理者は悠々と,機関士は吹きさらしの運転台で,である。

 検査に用いられるのかどうかわからないが,それらしきものは,直通ブレーキ管の圧力計だけである。発車が近づくと,機関車から送られた圧搾空気で圧力計の針が上昇する。もうすぐ発車だよ,と乗客の老夫婦が教えてくれた。蒸気機関車なんかに夢中になるのは子供だけでしょ,とか思いがちだが,この手の老夫婦はどこの鉄道にもいる。この場合,鉄道に対する理解の深さよりは,イギリス人の夫婦関係の方が興味深い。一般に女の人というものは,そんなに電車だの機関車だのに興味を示さない。「ま~,また汽車に乗るの,しょうがないわね。」みたいな会話があるのか否か。この件については,機会を得たらレポートしようと思う。

 小さな産業用(おそらく炭坑で使われていた)の機関車にひかれて出発する。この手の機関車は1960年ぐらいまで作られていたらしい。イギリスで保存鉄道というものがうまくいっている理由の一つに,比較的近年まで蒸気機関車が作られていたことがあげられるのではないか。そもそも割と状態のいい蒸気機関車が,割とお手頃価格で手に入りやすかっただろうし,部品の確保も容易で後のメインテナンスも楽だったのではないか。

 またこの鉄道もボランティアによって運営されている。ドアを開けてくれた(正確には,開けてくれようとしたが力が足りなかったので,他の人が手伝ってくれた)9歳だという男の子が,「僕はこの鉄道のスタッフだよ。」と胸を張る。保存鉄道では10代の子供がだぶだぶの制服やら蛍光色のベストを着て列車に乗っているのを見かける。ちなみに,ある鉄道のスタッフ曰く,16歳にならないとボイラを扱う機関車には乗れないという。

写真はくだんのダイレクターサルーンから。
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タンフィールドレイルウエイ(自称世界最古の鉄道) [イギリス(無用の用)]

 北東イングランドの主要産業は何か。
 今ではほとんどが閉鎖されたが炭坑である。もっと南の方では,石炭の輸送手段として,運河が発達したようだが,ここは丘陵地帯である。運河よりも,木製の運炭軌道(wooden wagonway)が発達したらしい。

 そんな運炭鉄道の一つをルーツに持つのが,タンフィールドレイルウエイである。開業は最初の蒸気機関車の75年前,一般に世界最古の鉄道とされるストックトン・ダーリントン鉄道の約100年前にさかのぼる1725年。

 この保存鉄道は,残された古い機関庫の保存から始まったという。1854年に作られたという機関庫は一般公開されていて,中に入ることができる。機関庫には,100年は経っていようかという旋盤やボール盤,小さな鍛造機や鍛冶屋仕事ができるような炉などが,残されている。実に古めかしいが,油で黒光りしている。小さい部品はここで作ったりするのであろう。庫内では何両かの蒸気機関車が修理されている。

 昔は炭坑で使っていたという小さな機関車が,数両の客車を引いて往復する。この日の機関車は,1891年にロバート・スティーブンソン社で作られたという古典機関車。客車は昔の運炭鉄道の雰囲気を残すようなオープンデッキのかわいい客車。機関車やえもんの世界。ちゃんちゃんかたかたけっとん,と3マイルほどの線路を林を抜け,丘を眺め,往復する。
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 機関士さんは鉄道の職員。
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 機関庫☆☆☆☆☆
 地域色☆☆☆☆
  

 訪問 2011年4月22日 
 
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イギリスの保存鉄道 [イギリス(無用の用)]

 イギリスでは,1960年代に多くの鉄道が廃線となった。理由は経営の合理化である。俗にBeeching Axe(邦訳「ビーチングの斧」:この名前は,合理化を提言した報告書の著者,リチャード・ビーチングに由来する。)。Wikipediaによれば,4,000マイルが廃線になったという。
 
 保存鉄道の多くは,このとき地域で活躍した鉄道が廃線となることを惜しみ,わずかな線路を保存しよう,という地域の人々の動機で始まっている。presavation railwayとか,heritage railwayとか呼ばれている。

 多くがNPO,いくつかが株式会社とその運営形態はさまざまである。また,機関士,車掌に始まり、そこで働く人の大多数が,ボランティアであることは間違いないが,同時に少数ながら有給のスタッフも働いている。ボランティアだけで橋を作り直したり,蒸気機関車の運転を行うのは無理と言うものであろう。また,鉄道によっては観光資源としての役割も大きく,それなりに行政からの支援を受けていたりする。また,汽車から落ちたボランティアが亡くなったので,安全が確認されるまで運行を休止したとか言うニュースもSteam Railwayとかいう,これまたディープな雑誌で報じられてた(と思う)。ボイラや構造物,そのほかについては安全上の規制だって少なくないはずだ。

 そういうわけで,保存鉄道は「汽車好きが集まって話し合いで運営している酔狂な鉄道」と言う牧歌的なイメージだけでは語りきれない。そこにはマネジメントがあるはずである。たしか職能別組織(生産とか販売とか仕事の種類別に分かれている組織)の発祥は,アメリカの鉄道ではなかったか。

 以上のように、経営学者はつまらないことを言う。おそらく、日本でもっとも保存鉄道について詳しく,またその魅力について書いているのは秋山岳志氏であろう。氏のように楽しい話を書けるように頑張ってみようと思う(氏とはお会いしたことはないが,出身学部が同じらしい。商学部出身のトラベルライターって、珍しいのではないか。)。

 とぐだぐだ言うのはともかくとして,次回は、北部イングランドにあるタンフィールドレイルウェイを訪問します(「世界の車窓から」風に。)。




機関車トーマスと英国鉄道遺産 (集英社新書 538H)

機関車トーマスと英国鉄道遺産 (集英社新書 538H)

  • 作者: 秋山 岳志
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: 新書



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イギリス在外研究(リーダーシップ論) [在外研究(暮らし)]

 菅首相はどうするべきなのか?

 というニュースは,ここイギリスでは全く報じられていない。それはさておき,どうするべきなのか。,少数派に与するフォロワーアプローチのリーダーシップ論者なりに考えてみようと思う。

 「人々は,リーダーシップが実際以上に結果を支配すると思っているからこそリーダーのいうことを聞くし,またうまくいっていないときには,実際の責任がなくともリーダーを非難する。」という仮説がある。リーダーシップの幻想理論(Romance of Leadership)と呼ばれる一連の研究である(リーダーシップのロマンス理論と訳す人々がいるが,そう訳すと意味不明である。)。
 いや,結果を左右するのがリーダーシップだ,と思っている人はW杯を考えて欲しい。どんなに優れた監督を連れてこようとも,日本代表が「イングランド,ドイツ,ブラジル,日本」からなる一次リーグを突破するのは無理であろう。この例は極端だとしても,リーダーが全知全能ではない以上,リーダー以外にも結果に影響を与える変数は山のようにある。

 さて,上の仮説は前半部分と後半部分に分かれるが,前半はマインドルというアメリカの研究者が,この関係を見いだした。後半はどうか?詳しくは,『早稲田商学』423号に書いた実証研究を読んでください,なのだが...。実証研究からいえる答えはYes。ゆえに,菅辞めろ辞めろの声が,巻き起こるのは理解できる。

 また,リーダーシップは,ついてくる人の期待の上に成り立っている。リーダーが,いや~,責任ないので,辞めたり謝ったりしません,といっておれば,自分に対する期待を低くしてしまうであろう。そういう意味からはとっとと辞めた方がよいのかもしれない。

 ただし,ここ数年,安倍,福田,鳩山と,首相は本当にくだらないことで簡単に辞めている。本当に辞めなければならない理由があったのは麻生首相だけである。その結果,「総理大臣はなんかうまくいっていなそうだったら,すぐ辞めるものだ。」という暗黙の期待が政界にも国民にも蔓延していないか。ここで菅も辞めれば,この暗黙の期待は変わらないであろう。次の首相もあっという間に支持率低下,退陣に追い込まれるに間違いない。菅おろしに一生懸命な民主党も自民党も総理大臣の座を軽くし続けているのではないか。自分が首相になったときに困ると思うのだが,いや,賢明なセンセイ方だから,辞めないことを見越して辞めろ辞めろとおっしゃっているに違いない。

 日本が置かれているのは,「イングランド,ドイツ,ほにゃほにゃ,日本」の一次リーグを突破するぐらい困難な状況である。ここは誰がやってもそう大差はない。私が期待するのは,続投である。解散総選挙ができるまで粘り続けて欲しい。打たれても,たたかれても,粘り続けることで,首相は,選挙に負けたとき以外は辞める必要のないポジションだ,という空気を作り出して欲しい。それが,政局に左右されない政治につながるのではないか。首相といえどもできることは限られているが,毎年繰り返される総理大臣おろしの混乱はますます政治ができることを,そして国民の期待を小さくしてしまうと思う。

 さて,イギリスに来て3ヶ月と少し。ようやくイングランド北部にも夏が来たようである。日本のことは気がかりだが,充実した研究生活である。受け入れ先になってくれた先生,また同僚の皆さんには本当によくしてもらっている。怪しい英語で研究発表もさせてもらった。よその大学の研究会にも連れて行ってもらった。こういう論文を書いたんだけど,参考になりそうだから読んでみない?とか。また,多くの人が日本について気遣ってくれたこともお知らせしておきたい。
 そろそろ,「在外研究」編は終わりにしようと思う。「在外研究」や「イギリス」で検索して,このブログにたどり着く方々は少なくない。これから在外研究に行こうという研究者の皆さんの参考になるところがあれば,これに勝る喜びはない。もっとも,研究者稼業を離れて趣味の話を書いてみたい,という気持ちがないわけではないのだけれど。


リーダーシップとフォロワー・アプローチ

リーダーシップとフォロワー・アプローチ

  • 作者: 日野 健太
  • 出版社/メーカー: 文眞堂
  • 発売日: 2010/07
  • メディア: 単行本



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イギリスのビザ申請(最終回) [在外研究(出発まで)]

 というわけで,英作文をしてメールを送る。ベルリッツに通っていたので,レッスンの中で見てもらう。J先生,ありがとうございます。もっとも,このブログへの引用の過程で省略したり打ち直したりしたので,すべての間違いの責任は,私ににあります。

 あと,小理屈ばっかりこねているから私自身の英語が上達しないということもよく自覚しています。しゃべり出すと文法的な間違いに,すぐ気がつくわけです。しかも,おお,ここは過去形だったとか,複数形なのに動詞が単数じゃないの,とかそういう単純なミス。そうすると,ますますもごもごと...。

まず,ビザの申請をしました。で,
Although I requested entry clearance from ... to ..., the issued visa is valid from ... for one year, one week earlier. I would like to ask you to change the date of my visa.
と,最初に,用件を書きました。最初に何をしてほしいのかを書くのが,英語のメールの書き方らしいです。
 
 その後に,事情を書くのだが,どうせ,変えてもらえないだろうと思っていたので,「インビテーションレターは,何日から有効なんだけれど,あなたたちが発行したビザは,日付が一週間早いです。I cannot understand the reason why the visa you issued is different ちゃらちゃら」と書いていたのだが,これは強すぎるよ。もっと丁寧に頼んでみようよ,とアドバイスしてくれる。

 そこで,インビテーションレターの日付は,何日からになっていますの後に,
Taking the invitation from the university and my personal conditions into consideration, I requested entry clearance from 28 March 2011. Therefore I would be very grateful if you could change the date of my visa.
と続けました。I would be very grateful if~とか,I would appreciate if~とか,よく見ます。

 あ~,よく考えたら我々もこういう頼み方をしていることがありますよね。学生が,もし採点を変えてくれたら感謝します,って,来ることがあるんですけど,そーゆー場合は感謝してもらわなくて結構です,とお答えしています。こういう表現は,英語では,どういうんでしょうか?I am very sorry とか,It is regrettable thatかなあ。I refuseではないと思う。あと,I am regrettable thatは,文法的に間違いでしたね。高校で習ったのを思い出しました。

 で得意の,ご迷惑でなければ(I apologize if my request causes any problems.)をかいて,でも日付を変えて欲しい。変えてくれないと困る,と書いて,最後に
Thank you very much,
です。

 最初はSincerely yoursって,書いていたのですが,ちょっと丁寧すぎるよ,というお話。そういわれてみれば,これまで,Sincerelyって書いてあるメールはもらったことないです。Regards,とか,Best wishesが多いような気がする。とにかく,今回は,丁寧かつ強引に頼む,というメールが必要だったわけです。

 さて,数日後,VFSから電話がかかってきて,日付を変えるので,パスポートを持ってきてください,ということになる。先日張ってもらったビザの上に,赤ボールペンで大きく×が書かれ,はんこが押してある。次のページに新しいビザが張ってあった。 

 パスポートを持って行って,持って帰って,結局都合4回,新橋のVFSに行くことになった。結局,何でもしぶとく粘ってみることが大事なのだと思う。こちらへ来て約3ヶ月,英語なんか相変わらずわからず,何となく愛想笑いを浮かべてごまかしてしまうこともしばしばである。でも,大事なことは,ちゃんと聞いてみたり頼んでみたりすることだと思う。改めて,そう思う。

 ところで,新橋駅から線路に沿って歩いていく途中に,映画館がある。そこでやっていた映画のタイトルが,『中川准教授の淫靡な日々』。『中川教授の淫靡な日々』に比べたら,なんと秀逸なタイトルなのだろう。幸か不幸か,ヒノケンタ准教授の日々はちっとも淫靡ではない。
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車の運転 [在外研究(暮らし)]

 車を持つべきか否か。これについては,いろいろな意見があると思う。我が家の場合,TESCO(イギリスのグロッサリーの3分の1はここで売られているという(ソース:なんかの新聞)スーパー)までは,徒歩20分。
 ちなみに,TESCO商法とでも呼ぶべき売り方は,”3 for 2”,つまり,3個で2個分のお値段,というやつである。しかも牛乳(4パイント,2リットル強)や,ジュース(1リットル)などが,このようにして売られている。したがってデイパックをしょってお買い物,である。

 もっとも,バスはよく通っており,絶対車がないと生活できない,というわけではない。また,電車の旅行も楽しい。車を持ってしまうと,1年しか乗らないんだからと,車で出かけたくなるだろう。けちですからね。そんなわけで,日常生活はなしですますことにした。

 近隣に出かける際は,レンタカーを借りることにした。ところがである。日本のガイドブックによると,「ヨーロッパのレンタカーはマニュアル車が一般的。」とある。ホントかウソか。本当である。ただし,この場合の一般的というのは,あくまで一般的と言うことであって,オートマが借りられないということではないらしい。もったいぶって意味のない話で申し訳ないです。

 さて,たしか,私の年代は,男に限っていえば90%はマニュアル車可の免許を選択していたと思う(今の大学生は違う)。当時は,オートマ免許は軟弱と見なされていたと記憶している。その流れで,マニュアル車を選択する。とはいえ,マニュアル車など免許を取って以来18年,ほとんど乗っていない。運転できるのか?

 とりあえず,そーっと半クラッチを使ってレンタカー屋を発進し,家の近くの路地で,発進の練習をすることにした。案の定,エンストする。左足は力を入れすぎてがくがくする。家の前は結構急な坂道である。坂道発進をしなければならない。やっぱりエンストする。下に止めてある車との距離が,だんだん縮まる。
 
 久しぶりにマニュアル車に乗る際に気がついたことについて書き留めておこうと思う。

1.アクセルはそっと。
 オートマ車の場合,アクセルを踏むのは,ドライブかリバースである。車重の抵抗があるから,そう簡単にはエンジンの回転数が上がらない。従って,知らず知らずにぐっと踏んでいる。マニュアルの場合,クラッチを踏んだ状態でアクセルをちょっと踏んで半クラッチでスタートである。この際オートマの発進に比べて,そっと踏まなければならないことに気づく。

2.ニュートラルに入れたらシフトレバーに手を置いて左右に動かしておく。
 乗り始めて2回目ぐらいは,おお,セカンドのままであったか,みたいな感じでエンストしたり,発進の際にあわてたりしていた。ニュートラルに戻したら,左右にシフトレバーを揺するように動かして,ニュートラルに入っていることを確認しておくことを,習慣化する。そうすると,「OK,信号変わったら,ローで発進ね。」と勝手に左手と左足が動くようになる。これって,教習所で習いましたっけ?

3.左手が忙しい。
 左手でウインカーの操作をおこなわなければならない。結果,ウインカーとシフトレバーとの操作を同じ手でしなければならなくなる。これが結構忙しい。また,普段日本車に乗り慣れている人は,ウインカーの代わりにワイパーを動かすこと数回だと思う。

 もっとも,3回乗ると,あんまり器用ではないし,スポーツドライビングとは縁遠い私であるが,問題なく乗りこなせるようになった。挙げ句の果てに,マニュアル車はやっぱり楽しいね,などと言い出す始末...。安全運転でいこうと思う。

 多くの道では,時速60マイル(約96km)が制限速度である。それも,結構細い田舎道である。日本の無駄な高規格道に慣れた目からはまさに「ひょろひょろ」である。町中の30マイル制限はよく守っているから,イギリスの運転事情はよい,と書いている人は多いが,それは認めるとしても,60マイルは速すぎるのではないか。ちょっと遠出をすると,リスやウサギがひかれまくっている。ヨークシャームーアでは,300mに一羽ないし一匹死んでいる(本当です)。

  だいたい,自動車についてちょっと知っているぐらいで,べらべらいうロクでもない人がいる。じゃあ,おまえは,どうなんかい?と言われたら,いや,僕は違うんだよ,もごもご,いや~,自分がこっちに来る前は,マニュアル乗れるかなあ,と不安だったからさ,誰かの役に立つかもしれないと思ってさ,などと言い訳をすることにしたい。安全運転を心から自戒しつつ。
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イギリスのビザ取得(つづき) [在外研究(出発まで)]

 前回と今回の話は,とりようによっては,英国官憲に対するいちゃもんである。こんな事書いて帰れっていわれたらどうしよう(どきどき)。

 さて,1週間早まるのは,非常に困る。いろいろな都合があって,予定通り日本を28日に出発せざるを得ない。向こうを来年の21日に出発して帰国すると,本邦不在期間が1年を下回ってしまう。そうすると本邦での所得税などの支払い義務が生じてしまう。
 行政サービスはイギリスから受けるのだから,イギリスで税金を払うのが本来のあり方ではないか。ただし,外国人の外国での所得を個人レベルで補足するのは,面倒すぎてできないのかもしれない。なので,イギリスでは所得税は払わなくてもよい。もっとも,カウンシルタックス(家にかかるらしくて,私の場合年1188.76ポンド)を払わなければならない。消費税も20%と高い。なので,ヒノ先生,イギリス行って儲かりましたね,というほどのことはないです。

 で,ついでにいえば,個人的には給料から税金を払うのには異論がある。労働と消費はどっちが尊い行為ですか,と聞かれて,消費と答えるひとはおるまい。
 いや消費がないところでは労働も成り立たない,どっちが尊いとかいう質問自体が成り立たない,という経済学者もいるかもしれない。ここでは,そーいう没価値的な話をしているのではない。

 そんなわけで尊い行為である汗水垂らした労働の果実の給料はなるべくそっとしておいて欲しい。消費は悪徳ではないが,なんの努力もいらない行為なので消費税を20%ぐらいまであげる。
 もちろん,配当や利子,相続にはもっと課税しても良いし,もちろん所得の少ないひとに対する所得再分配の仕組みは別に考える必要があるし,今以上に手厚くしても良いと思う。ついでに,消費税中心の税制に各国が変われば,多国籍企業や富裕層の租税回避といった問題は少しは解決されるのではないか。
 
 閑話休題。電話に出たVFSのおねえさんは,うちは窓口サービスを請け負っているだけだから,我々の判断で期間は変更できないし,これで納得しろ,と言う口ぶりである。とはいえ,粘っていたら,会話の中で,二つの方策を示してくれた。一つは,入国審査の時に,入国審査官にアピールすること。ここで変更が認められる可能性はほとんどないが,ゼロではない。もう一つは,ビザの審査を行うマニラの英国大使館に,直接アピールする方法である。しかも大使館にはたくさんメールが届いて分からなくなってしまうから,英語でメールを書いたら,取り次いでくれるという。

 やっぱり親切じゃん,VFS。「英語で書いたら」というところが挑戦的に響くのは,きっと私がひねくれているからであろう。というわけで,素直にご厚意に甘えて,変更をお願いする手紙を書くことにする。そこで,次回は例によって,英作文の練習。

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イギリスのビザ取得 [在外研究(出発まで)]

 観光ビザの滞在許可期間(6ヶ月)を超えて,イギリスに滞在するためには,ビザ(エントリークリアランス)が必要である。アカデミック・ビジタービザを取得することにした。家族は,アカデミック・ディペンダントである。わかりにくいが,UKBAの申請種別のプルダウンメニューのアカデミックビジターの直下にある。
 「ビザ」を取るのは大変だよ,とアドバイスしてくれた同僚もいたし,イギリス,ビザ,大変でググってみるとかなりの件数がヒットする。が,これは書類を整えるまでが大変だという意味のようである。何を持ってくるべきか明記していないのである。そこで,わたくしが用意した書類について。

 預金通帳とそのコピーと翻訳。出入金の最終記録は12月6日。キャッシュ・フローを評価するのかストックを評価するのか分からないが,給料の振り込み口座である。残高もほどほど?それなり?にはあった。
 招聘状と在籍料の領収書 そのコピー
 大学からの在外研究許可証(年収と派遣期間中の日当が明記されたもの)。元々英文。そのコピー 
 戸籍謄本(全部事項証明書:家族で一通)とその翻訳。発行日は11月9日。翻訳のみコピー
 CV(履歴書と研究業績一覧:自分で作った。)
 申請書の出力

 確かこんなところではなかったか。コピーだけ取り上げられて,原本が帰ってくる仕組み。このほかにパスポートのコピーが必要であったが,申請窓口で用意してもらった。1枚50円。

 12月末に,web上で申請書類を作って,1月5日に一家でのこのこ新橋のVFSへ。プリントアウトした申請書を見ながら,日本人に見えるけれどネイティブの日本語ではないめがねのお姉さんがいろいろ入力してくれて,申請終了。一家で行ったのは,生体認証のために指紋と顔写真を取られるから。

 実は,入力方法がわからなくてVFSに電話を一度している。アカデミック・ビジターを申請したい,と言ったところ,「おつとめは大学ですか?」「何年間おつとめですか?」と確認されたから,きっとこの2点が重要なのだと思う。また,そう尋ねるからには,状況によっては「それはアカデミック・ビジターでは無理ですよ。」と教えてくれるのではないか。同僚のある先生は,「あそこ,そんなに親切か?」といっていたから,たまたま親切だっただけかもしれない。

 さて,待つこと10日。Web上の処理状況が変わり,Ready for collectionに変わる。のこのこ受け取りに行く。たしかに,パスポートにビザがはりつけてある。ところが...。

 受け取ってきたビザを見ると,申請した滞在は3月28日から翌年3月28日までであったのに対し,許可されたのは3月21日から3月21日までになっている。大学が出してくれた招聘状の日付も3月28日から1年間である。である。これは,誰かが事務上のミスを犯したのであろう。
 
 「あっ,なるほど。それでは訂正できるかどうか聞いてみますね。ただし訂正する場合は,もう一度パスポートを持ってきてもらうことになりますが。では,連絡先をどうぞ。」と,係のお兄さんはフレンドリーである。

 さて,翌日電話がかかってくる。曰く,今回は,いろいろ準備の期間もあるだろうから,1週間早めに出しました,とのこと。いや,そんなの困ります。どういう判断で一週間なのか。5日ではだめなのか。アカデミック・ビジターの申請者は例外なく一週間早くしているのか。準備のために一週間早く出しましたなんて,方便だよ,ぽっぽー。


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子どもの学校inイギリス(その3・アピール編) [在外研究(暮らし)]

 アピールは,4月20日に州庁であった。アピールは,3人のアピールパネルの前で,州庁の教育部局のフレッドさんが,今回の決定の経緯について説明し,私が異議を申し立てることになる。アピールの日時等をアレンジしてくれたグラハムさんが書記を務めるほか,わたくしを含め,合計9人の出席者があった。

 まず,パネルの中央に座るマーソンさんが,出席者を紹介し,我々は州庁からは独立した立場で双方の主張について検討する,と述べる。続いて,パネルの正面,わたくしの右隣に座るフレッドさんが,今回の決定の経緯について説明する。確かに合同クラスをとって,法律上の問題はクリアしているが,Year1は,すでに34人のところ39人を受け入れてしまっている。彼らが高学年になったとき困るかもしれないので,どの学年も定員以上の受け入れは避けるべきだ,というようなことを説明している。違うのかもしれないが,そう聞こえた。

 説明が終わるとパネルから,「プロフェッサーヒノは,この件に対して何かありますか?」と尋ねられた。主張は書面で提出してあるので,思わず,Nothing particularと答えそうになったが,ここでは彼の主張に反論するべきなのだろう。そこで,「彼の主張はもっともであるが,彼は将来起こる問題について述べていたと思う。我々は必ず1年で帰るので,トモノリの入学は,将来にわたって影響を及ぼす問題ではない。」式のことを述べる。

 ここで一度我々が退席し,数分間パネルが討議した後,結論が示された。トモノリを受け入れる,ここでの生活を楽しんでねとのこと。これにて一件落着。グラハムさんが州庁の出口まで送ってくれる。建物を出るとよく晴れていて前庭の八重桜が鮮やかである。うまくいったのは,出席者全員の親切な態度のためだとおもう。フレッドさんも含め,ゆっくり丁寧に説明してくれたことは書いておかねばならない。

 行政の決定に異議を申し立てるプロセスが,行政内部にちゃんと用意してあって,行政機関とは独立した市民がその当否を決定する,というプロセスを経験したのは得難い経験であった。イギリスでは一般的なプロセスなのかもしれない。例えば,地元紙には,警察がパブの営業時間に対する規制を強化したいが,最終的にはアピールを経て決定されるであろう,というニュースが載っている。そもそも成熟した市民社会においては,権力は,個々の幸福を実現するために存在するのであって,過剰であってはならない。この理想は市民による不断の関心によって実現されているのである。アピールはこの手段なのだろう。

 見聞したことはないので詳しくはわからないし,違う仕組みかもしれないが,同様の理想を実現する仕組みがあるはずである。取締役に対するガバナンスの仕組みが各国違っていいように,日本には日本の仕組みがあるはず。アピールという仕組みが優れている,と主張するつもりは毛頭ない。コーポレートガバナンスについての知識に基づいて推測すれば,日本では行政官の良心と裁量に任されてしまいそうな部分を透明にする,というのがイギリス式なのだと思う。
 日本だってイギリス同様に,個人を尊重することは社会で共有された価値観ですからね。
 

 ところで,個人の勝手を言ってご迷惑をかけ申し訳ありません,格別のご配慮ありがとうございます,という気持ちになるのは,何ででしょうね。日本人だからですかね...。
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